今回は、生成AIを活用して営業活動の効率化を支援した事例をご紹介します。

約100名の営業組織をもつ市場調査会社の営業マネージャーから、「社長より『営業に生成AIを活用し、営業部全体で業務効率化を進めるように』と指示があったが、具体的な方法や予算についての知識がなく、どのように進めればよいかわからない」という相談を受けました。

そもそも、営業は個々のスキルや経験によって成果にばらつきが生じやすい職種です。また、他の担当者がどのような提案をしているかが共有されず、似たような提案を繰り返してしまうといった非効率な面や、営業組織全体でナレッジが蓄積されないことに対する悩みもよく聞かれます。

そこで今回は、生成AIを活用することで、売れる人と売れない人の格差を減らし、営業組域全体のナレッジを底上げする方法をご紹介します。

なぜ営業組織に生成AIを導入するべきか

例えば、100個の商品がある場合、新人営業マンがすぐに全商品を把握し、顧客に提案することは難しいです。そこで、トップ営業マンのナレッジを学習した生成AIを用いることによって、顧客に適したいくつかの商品をピックアップすれば、100個すべての商品の知識がなくても販売するべき商品を知ることができます。これにより、情報収集や提案書作成にかかる時間を大幅に短縮することができます。

さらに、生成AIで類似する提案書の内容を分析することによって、最適な提案内容を自動生成します。その結果、経験の浅い新人営業マンでもトップ営業マンと同等の質の高い提案ができるようになります。

このように、営業組織全体にナレッジが共有されることで、業務効率化だけでなく、生産性向上や売上増加にもつながり、営業力の向上が期待できます。

進め方の提案


では、どのような方法で生成AIを営業業務に活用するのがいいでしょうか？
私たちは、相談があった会社の営業方法について詳しくヒアリングし、トップ営業マンのやり方を詳しく知ることからスタートしました。そうすることで、生成AIのシステム設計にもその会社独自の営業メソッドを反映することができるようになり、その上で、生成AIが営業活動の効率化に役立つ方法を提案しました。

AI環境を整備し、説明会を開催
まず、AI活用の環境を整備し、営業チーム全員がChatGPTを安全に使える環境を作りました。生成AIの基礎知識や活用方法について説明会を実施し、日常業務での使用例を共有しました。

ユースケースを収集
次に、業務効率化のユースケースを収集し、実現難易度や効率化効果を評価して優先順位を設定しました。

プロンプトを作成
「プロンプト」とは、生成AIに対して指示や要求を入力するテキストのことです。トップ営業マンにヒアリングし、どのようなことを頭の中で考えて営業プロセスを踏み、どんな提案をして成果を出しているかを洗い出します。その成功パターンをプロンプトに反映し、生成AIの精度を高めます。

生成AIを導入して良かったこと

情報収集や提案資料作成の時間短縮、顧客に合った質の高い提案書を自動生成
生成AIを活用することで、トップ営業マンのナレッジを基に顧客に合った商品をピックアップし、情報収集や提案書作成の時間を大幅に短縮し、業務効率化。

組織全体の営業力の底上げ
生成AIはトップ営業マンの成功事例やメールを分析し、最適な提案やフォローアップを自動生成することで、新人営業マンでも質の高い提案や対応が可能に。これにより、営業部全体でナレッジが共有され、業務効率化だけでなく、生産性向上や売上増加、営業力の向上が期待できます。

CTOの目線

インターネットで検索すれば、営業マン向けの生成AI活用術はありふれています。しかし、各社の営業方法は異なるため、他社の成功事例がそのまま自社の営業活動に活かせるかは分かりません。

私たちは、相談を受けた会社の営業方法を詳しくヒアリングし、どのようなプロセスで提案し、成果を出しているかを生成AIで分析しました。さらに、成功パターンをプロンプトに反映し、精度を高めました。

これにより、その会社独自の営業メソッドを生成AIのシステムに反映し、営業効率化の方法を提案しました。

CTO EYEsでは、生成AIの活用に関するご相談も承っております。提案資料の作成効率向上や質の改善、組織全体の営業力強化など、生成AI導入についてお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。